①‐3

13/19
前へ
/363ページ
次へ
「いや、お前はこれを持て。これは紗奈には持てないから」 先生は下に置いてある箱を指差しながら、奪い取った箱を持ってさっさと部屋を出てしまう。 「人使い荒いなー先生が優しいのは藍原さんだけか」 部屋を出ながらつぶやくように言われた言葉に、私はドキっとした。 私と先生の関係を知っているような口ぶりに聞こえたからだ。 まさか…ね? ダメダメ。また不安が顔に出ちゃう。 不安な気持ちは気のせいだということにして、部屋の電気と一緒にスイッチを切ってしまおう。 そう密かに決意して、パチンと勢いよく準備室の電気を切った。
/363ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2267人が本棚に入れています
本棚に追加