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永崎先輩は何事もなかったかのように、望遠鏡を組み立てている2人のところへ歩いていった。 3人からは見えない角度で、先生の服の裾をきゅっと掴む。 それはこの状況で、この心臓の音を鎮める限界ぎりぎりの方法。 ホントはぎゅって抱いて欲しいくらい不安だった。 この不安定な関係が、もしバレていたとしたら…… 考えるだけで怖くて、裾を掴む手にも力が入ってしまう。 「紗奈、1分だけ待てる?」 どういう意味かわからなかったけど、私は小さくうなずいた。
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