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それは本当に一瞬のことで、何が起こったのか理解するためには少し時間がかかった。 階段の1番上にいる私。 踊り場で先生に抱きとめられている彼女。 「宮田大丈夫か?」 「っあ!先生すみません……」 真由ちゃんは顔を真っ赤にして慌てて先生から離れる。 その場所は私の特等席なのに…… わかってる。 わかってる…… 先生は彼女を助けただけだってこと。 わかってるのに…心がざわざわする。 先生は気付いてる? 頬を染める彼女に。 醜い私の心に。 怪我をしそうになった真由ちゃんを心配することさえできない私に。
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