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真由ちゃんはペコリとお辞儀をして、私の方に向き直る。 「紗奈ちゃんお待たせ」 「あ、藍原はちょっと残って」 真由ちゃんの言葉に、うん、って言おうとしたところを先生に遮られた。 一瞬の沈黙があって、真由ちゃんは「失礼します」と言いながら出て行った。 ドアがぴたりと閉じられると、そこには重い空気の塊が道を塞いでるんじゃないかと思うほど、先生との間に距離を感じる。 どうしよう……怒られる…… 「紗奈、こっちおいで」 抑揚のない声だった。 先生の痛いくらいの視線を避けるように、顔は伏せたままでソファの前まで移動する。
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