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部活……休みたいなぁ。 永崎先輩に会うのも嫌だし、先生に会うのもちょっと気まずい。 あの屋上での一件のあと、一度だけ永崎先輩とすれ違った。 『わかってると思うけど、この前のこと、先生には言っちゃだめだよ?』 階段の踊り場のざわめきの中、小さな声で告げられた言葉が何度も頭に浮かんだ。 不安な表情を浮かべる私に、千尋が気付かないはずはなくて、すぐに優しく声をかけてくれた。 「紗奈、なんかあった?」 「あ、ううん、ちょっと喧嘩しただけ」 「なんだー痴話喧嘩?じゃあいいや」 夫婦喧嘩は犬も食わないってね、っと千尋は笑った。 夫婦って…ちょっと恥ずかしいし……
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