秘蜜

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数日後、決戦の日は来た。 「じゃ、行ってくるね。留守番よろしく。 あ、そうそう…。お祝用のマシマロ、期待してるからね。」 「あーはいはい。人の気持ちも知らないで…。 ちゃんと皆さんの好物作っておきますよ。」 はいはいと苦笑を浮かべながら見送ろうとする。 姿が見えなくなるところをしっかりと見守った。 ちゃんと彼に頼まれたことはしよう。 「ま、しばらくは大丈夫ですよ…ね。」 信じたいと言った方が正しかった。 自分を落ち着かせるように深呼吸をすると そのままキッチンへと向かっていった。 彼らの好物を作るために。 ***** 戦場についたとき、ハヤトは驚愕していた。 夢と、同じだったのだ。 生き残っているのは桔梗だけ。 他の二人は姿が見えない。 ボンゴレのメンバーもほとんど炎を使い果たし 不思議なオーラのような場所に 白蘭とユニと綱吉の三人がいる。 「これは、いったい……」 声を漏らすと、最初に気がついたのは桔梗だった。 彼もまた炎を消費したのか疲れ切った表情をしている。 そんな彼は事情を説明していた。 ゴーストという他世界の白蘭により ザクロとブルーベルが死んでしまったこと。 そして、大空の炎が反応しあったことにより 彼ら三人だけが、オーラの中に包まれたこと。 「被害が少ないだけ、あの時代と違う。 でも、きっと…すぐに終わってしまう。」 ふと見上げるとボンゴレの少年が オーラを破壊しようとしている姿が見える。 彼が入ってしまえば圧倒敵に不利になる。 時間を感じる余裕など、あるわけもなかった。 「桔梗さん、あとのこと、お願いしますね。」 ハヤトはそう言って微笑んだ。 そして、自分の炎を使い空中を舞う。 ボンゴレの人間の視線を感じても 桔梗の制止の声が聞こえても 止まることなどなかった。 ただ自分の願いを叶えたい。 愛する人を守りたい。 そのためだけだった。 手の平に集めるだけ炎を使いオーラを割ると ハヤトはオーラの中に入っていった。 そして、白蘭に綱吉の炎に当たる前に彼の盾になるべく立った。 ねぇ…知ってます?   僕、いっぱい後悔したんです あなたはいつも僕を守っていく   僕のために世界を作ろうとする だから…今度は僕の番   僕はあなたのために この身を悪魔に捧げましょう   そのために僕は神に逆らい 転生し続けてきたんだから……
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