はじまりはじまり~

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「繭君、麻酔が効く時間まで待てないからごめんね」 舌を噛まないようにタオルを噛ませて体を固定した 犬用しかない…… 「我慢してくれ」 綺麗な足に傷を付けるのは心が痛むが仕方がない メスを入れると声を出さずに耐えていた かなり痛いはずなのに 開いた傷口から毒を吸い出し治療が終わり包帯を巻きながら繭君を見ると、気絶していた まぁ、その方がいい しかし何故ムカデに? まさかペット……ではないな 心配もしていないのか?繭君を連れ出しても電話すら掛かって来ない 何なんだ、息子が心配じゃないのか? だったら今夜は家に連れて帰ろう 繭君から話も聞きたいし熱も心配だ 気を失った繭君を抱き上げ、助手席に乗せて自宅に向かった 「初めて乗った助手席にきっと気付かないね」 泣き叫ぶかと思えば気を失うまで声を出さない 彼は今までどんな生活を送って来たのだろう 自分の部屋に鍵をかけなければいけないような生活なのか? やり切れないな…… マンションに着き、玄関の鍵を開けて客室のベットにそっと寝かせぬいぐるみを置いた 今夜は徹夜になりそうだ 毒は全て吸い出したけど油断は出来ないが血清は必要ないだろう 「よく眠っている」 今のうちにシャワーを浴びて来よう 夜はまだ長い 「私が人間を連れて来てしまうなんて」 そんな自分に驚きながらシャワーを浴びた 「ムカデはどうしたんだろう」 しかし冷静になって考えれば、ムカデが太ももまでのぼって来たら普通気付くはず と言う事はベットの中に? 確かに暗い場所を好むが海外から海を泳いで来たのか? まさかね やはり話を聞く必要がありそうだ
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