第1章 「空駆天馬の一日」

6/8

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
授業と掃除、それに帰りのホームルームを無事に乗り切り、三人は元気良く教室を飛び出して校門を駆け抜けていく。これから駅前にある駄菓子屋への大冒険が始まることもあってか、いつもは三人で寄り道しながら通る帰り道も、今日に限っては真っすぐ各々の家に向かっていった。 天馬も自分の家に着くなり自分の部屋にランドセルを放り投げ、外出用のメッセンジャーバッグを肩に背負ってお気に入りのキャップを被ると、軒先に止めてある自転車にまたがって集合場所へと急いだ。 集合場所に着くと、すでに黒之介が待っていた。二人でルートの確認をしているうちに、勇真も自転車に乗ってやって来た。 「よし、集まったな?」 「おう!!」 「じゃあ駄菓子屋へレッツゴー!!」 「おー!!」 こうして黒之介の先導によって、天馬一行は駄菓子屋へと自転車を走らせる。駄菓子屋自体は近所にもあるため何度も行った事はあったが、今日行く駄菓子屋というのは最近出来たばかりの駅ビルの店舗で、クラスメイトの間でもかなり評判は良かった。三人とも走りながら、なけなしのお小遣いでどんなお菓子を買うか考えていた。 そうこうしているうちに、目的地の駅ビルが見えてきた。天馬が辺りを見渡すと、明らかに駄菓子屋目的と思われる同じくらいの小学生たちがちらほらいた。そのライバルたちを見ながら近くの有料駐輪場に自転車を止めて、三人は意気揚々と駅ビルへと入っていった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加