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「何だろうこの店?」
興味津々にデビは店の至る所に置いてある物を触っていく。
「こんな店在ったかな?」
デビとは真逆の態度を示しながらスーラは腕を組んで入り口付近で考え込む。
「すいません。誰かいませんか?」
ジークは店の奥に呼びかける。
すると奥からのそのそと一人の老人が出てきた。
「なんのようじゃ?」
「あの~、人を捜していたんです。僕達くらい子を知りませんか?」
代表してジークが店の人に聞く。
店の人はジーク達に近づいていきジークの顔をのぞき込むように見る。
そしてのぞき込むように見られたジークはと言うと、若干口元をひくつかせて店の人を見る。
「……少し待っておれ。その間この飴でもなめておけ」
店の人は服のポケット中をもぞもぞとさせて飴を取り出してジーク達に渡した。
すぐさまデビは何の躊躇いもなく飴を口の中に入れた。
それを心配そうに見るジークとスーラ。
「なんか辛いな」
顔をしかめながらデビが言う。
そして次にスーラが飴を食べた。
「……私のは苦い」
その二人の光景を見てジークは首を傾げる。
(あれ? 全部同じだったはずじゃ……)
などと思いながらも最後にジークは恐る恐る飴を口にした。
「ううっ」
いきなり息が苦しくなり、ジークは首元を押さえながらその場に倒れ込む。
「ジーク!!」
……薄れゆく意識の中、自分の元に急いで走ってくる二人が微かに見えた。
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