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「にぃにぃ待って!待ってってば!!」
制服のブラウスのボタンをとめながら リビングへと続く階段を駆け下りる。
腕に掛けた制服の上着が揺れカバンを打つ。
ポケットに入れた制服のリボンが落ちそうになってた。
リビングに着き 真っ直ぐへと玄関へ走る。
「朝から騒々しい子ねぇ」
呆れ半分にソファに腰掛け一息ついてた母さんが言う。
「母さん にぃにぃは?」
「もう出たに決まってるでしょ。あんたも早くしないと遅刻よ」
「えぇっ!なんで待っててくれないの」
じれったさを覚えながらひとまず荷物を床に落とし上着だけ拾った。
上着の袖に手を通してると ポケットからリボンが落ちた。
拾い上げ襟元につける。
「にぃにぃのばかっ!」
ぼやいてると母さんは更に呆れた顔をした。
「あんた高校生にもなって いい加減真のことにぃにぃって呼ぶのやめなさい」
「だってにぃにぃはにぃにぃじゃん。行って来ます!」
母さんの話を半分に カバンをひっつかみ玄関へと急いだ。
靴も半履きにトントンとつま先で床を叩きながらドアを開け飛び出した。
一目散に駆け出す。
「にぃにぃどこまで行ったんだろ.」
私の名前は佐倉りゆ。
真にぃは1つ上の兄で 私は子供の頃からずっと慕ってる。
中学に上がった頃から真にぃは急に私に対して素っ気なくなったけど 私はめげずに真にぃにまとわりついてる。
真にぃは疎ましくしてるけど。
結局 学校まで走ったけど真にぃには追いつけなかった。
とぼとぼと自分の教室へと向かう。
「おはよ」
教室に入ると いちばん仲のいい椿が声をかけてきた。
「はよー.」
ハキなく答える。
「‥またにぃにぃに置いてかれた」
机にカバンを置きながら椅子を引き、椅子に座ると机の上にうなだれた。
私の元気は朝から最低値。
椿はそんな私の頭をよしよしと宥めるように撫でた。
「帰ったらまた会えるでしょ。ってゆぅか 休み時間なったらまた佐倉先輩のとこ行くんじゃない」
「そうだけど‥ぅー‥にぃにぃに会わないと元気出ない.」
椿は苦笑。
もうひとり、私の上に影がかかった。
「あんたいい加減兄離れしなさいよね。佐倉先輩もいい迷惑よ」
呆れ果てた声でずけずけと言ってくるこの声の主は綾子だ。
綾子は尚も続ける。
「あんたと来たら佐倉先輩見かけようものなら 廊下走ってってどことも構わず抱きつくし.」
「あっ!」
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