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「ッ美味しそう……」
ガラス越しに見つめる目は、あの鏑木財閥の娘と言うものを一切感じさせない、ただの女の子になっていた。
「由利奈ちゃん、美味しそうでしょ?」
「うんッ!一度、来てみたかったの」
弾けるような返事をして再度ケーキへと視線を向ける。
今さっきからの態度の変わりようといったら変わりすぎだ。
学園から出た俺達はさなの言われるがままに三十分かけて、このケーキ屋に連れてこられた。
さなが言うにはこのケーキ屋は最近オープンしたらしく、休日は三時間待ちの大行列。平日は一時間待ちの人気のケーキ屋らしい。
少し前に光がケーキ屋の事を口にしてたのはこの事だと理解した。
「さぁ、じっくり選んでよ。じゃないと、後から後悔するよ」
「いろいろ……有り過ぎて…迷う……」
のどかも由利奈と同様にガラス越しにくっついてケーキを選んでいる。
「さぁさぁ、君達も選ばないと後ろの人達に迷惑でしょ?」
「誰がじっくり選べって言ったんだよ」
微笑ましい笑顔を見せるさなに、鋭くツッコむ。
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