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「んー。美味しい~。」
見てるこっちまでもが幸せな気持ちになりそうな笑顔を向けてくる。
「でしょ?のどかちゃんも食べて食べて」
さなに急かされながらも一口サイズにフォークで切り口の中に放り込む。
「んッ。……美味し…………」
「あっ、確かに美味しい…」
どこか男らしくない一樹もケーキを食べ口にする。
その横で制服がボロボロの伸士が乱暴にフォークを使い皿の上に置かれたケーキを串差し周りの目を気にすることなく放り込み俺に聞こえるように呟く。
「ったく。なんで俺達の奢りなんだよ」
「……」
その問いかけにチラッと横目で眺める。
すると、それに気づいた伸士が女子三人を見てから黒斗の耳元に顔を近づけて小言で喋り出す。
「すまねぇな、出して貰って」
俺も女子三人に聞こえないように返答する。
「かまわないよ。余りにも伸士を見ていると可哀想だったからな」
「おまっ、可哀想だって?」
「そうそう」
あまりにも失礼な発言を繰り返していた伸士に由利奈は全て伸士に奢らすように命令し、俺達五人分全て伸士に奢って貰うはめになった。
しかし、さすがの伸士も学生であったわけで五人分のケーキ代全て払うのは困難な為俺が少し払ってあげたのだった。
何故払えなかったのは、約一名のせいだって言う事はみんな理解していた。
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