あの瞬間から

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飲み干したお酒のグラスを返しに戻ると さっきとは違う男女が座っている 「私、敬浩の彼女でしょ?なのにこの前違う女と歩いてたってどういうことなの?」 男の袖を握りしめ不機嫌そうに尋ねる 敬「知らねえ。忘れた」 全く動じず冷めた口調で答える 「最低!私、本気だったのに‥」 そう言うと袖から手を離し怒って去って行った女性 その姿を見ることすらせずただお酒を口にする男性 この人の目‥‥‥悲しそうに前を見つめるその瞳にこの世界はどのように写るの? 里「この人と同じのをください」 隣に座りバーの人にそう頼む 敬「‥‥‥‥‥‥‥」 里「振られて男一人で飲むのは寂しいでしょ?」 横を見て笑いかける 敬「まぁ確かにな」 里「ねぇ、私たちなんか似てると思うんだ。あなた人を好きになったことないでしょ?」 敬「何言ってんのお前?」 表情を変えず低い声でそう言う 里「私もないんだ。だからさ私たち付き合わない?惚れた方が負け。ちょうどいい暇つぶしでしょ」 敬「面白い。その話乗った」 楽しそうに微笑む その笑顔を見たとき私は今まで感じたことのない胸の感覚に少し戸惑った
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