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「他意はありませんが、今のあなたでは些か力不足ではないでしょうか。他意はありませんが」
剣呑とした雰囲気に他の面々が口を噤む中、女性は穏やかな姿勢を崩さずに言う。
「他意ありまくりじゃねえか! むしろ他意しか感じられねえよ!」
「おいお前ら! 神ちゃんの分からない話をするな! 神ちゃんにも分かるよう説明しろ!」
激昂する不良に続き、神ちゃんが地団太を踏んで会話に割り込む。
――その瞬間、教会の出入り口である大扉がけたたましく開かれた。
「っ!?」
一同が一斉に出入り口を振り向く。
「悲しいことに、異教徒の在り方は未だ変わっていないのですね」
荘厳な響きを持つ声が外から流れ込んでくる。
開かれた大扉の先には、真っ昼間の街中で対峙している、三つの集団がいた。
「釈尊の御心を解しようとしないとは、誠に嘆かわしく度し難い。
悪魔の正体を知り正観を得、厭離の思いによって離欲し、そして解脱を以て涅槃に至るのだ。
疾く解脱せよ」
集団の内二つは法衣を着込んだ者で形成されており、それぞれキリスト教と仏教の法衣だ。
「異教徒は言葉を多く並べれば人に聞いてもらえると思っている。
聖ルカもそう仰られていますが、あなた方仏教徒はその典型例ですね」
「はぁぁぁぁぁ……。手前らの宗教対立なんざ知ったこっちゃねえんだよ。目障りで耳障りだからクソッタレな狂信者共は消えな」
現代人らしい格好をした、残る一つの集団が揃って鬱陶しそうにする。
教会の大扉を開かせた原因は謎だが、恐らく言い争っている彼ら絡みなのだろう。
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