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「クククッ、飛んで火に入る何とやら。奴らを神ちゃん教に教化させるぞ! 者共続けっ!」
神ちゃんはいがみ合う彼らを視界に入れた途端目を輝かせ、意気揚々と駆け出していく。
「……いつから僕らは神ちゃん教の走狗になったんだろうね?」
「ふふ、楽しそうで何よりじゃないですか」
首を竦める草食呪術医にお気楽な言葉を返すと、おっとりとした女性は悠然と騒ぎの渦中へ歩き出す。
「ケッ、あれでも元僧侶かよ」
遠ざかっていく本人の背を目に、柄の悪い彼が毒づく。
「どっちも放っておけないんだと思うけど」
「どうだろうが知るかよ。――あ゙ー、この苛々アイツらにぶつけてやる」
彼は月山の私見に不機嫌そうな顔をすると、反動をつけて椅子から立ち上がった。
「その間くらい自分の身は自分で守れよな」
そう言い残して二人の後を追う。
「宗教に関わろうとする人の気が知れないなあ」
出張っていく三人に不可解だと言いたげな草食呪術医。
その視線は、聖堂奥にある祭壇の背後に安置された聖像を見上げている。
「……バナナ型神話」
「うん?」
「人間が短命になった理由付けって、色々な神話にありますよね? 聖書ならアダムとイヴが知恵の実を食べてしまったから、記紀なら天孫ニニギがイワナガヒメを送り返してしまったから」
淡々とそう話す月山に、草食呪術医は怪訝そうな顔をした。
「知恵の実を食べたから、それと対を成す不老長寿の実の恩恵が受けられなくなった。
永遠性の象徴であるイワナガヒメを送り返してコノハナサクヤビメだけを妻としたから、花のように栄える代わり、花のように命を散らす。
そういうことかい?」
「日本書紀ならイワナガヒメの呪いですけど、大体そうです」
二人して見上げた聖像の周りは、ステンドグラスと壁画で鮮やかに彩られている。
それらは信仰を分かりやすい形で表現するためのものだ。
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