プロローグ

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印象的な目はつり目で、次に気付いたのはピアスだらけの痛そうな耳。全体的な特徴は学ランはボタンを外し、見事に着崩している点だろうか。妙にしっくり来る着こなしは、周りを挑発するようで……。 見た目だけならば不良。天音も、そう決定付けた。 皆が皆、少し彼を見て、息を潜ませる。 ジャラジャラとズボンのチェーンを鳴らしながら、彼は天音の前に立つ。 近くで見るとイヤホンをしていることが判明した。 しかし、音漏れはしていない。 常識の範囲内で音楽を楽しんでいるようだ。 携帯を開き、揺れ動く電車でカタカタと器用にメールか、はたまたサイトを眺めてるのか、他に何も見るものない電車の中で、天音の視線は無意識に知らない彼に向いていた。 携帯は流行りのスマートフォン。シールも、ストラップも、カバーさえも付いていない。
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