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分かりにくいけれど、確かに笑った。
「じゃぁ、な?」
改札を出るとき、さり気なく天音の頭を撫でから無愛想な顔で立ち去った。
「名前……聞くの……忘れちゃった……」
天音の行く方向と別の道に進んで行ってしまった彼の名前を彼女は暫くしてから知らないことに気付いたが時既に遅し。
通学ラッシュの人波に飲まれた銀髪はあっという間に見えなくなった。
複雑な心境を抱えた天音は自分の行くべき方向に歩みを進める。
もう一度だけ振り返ってみたが、溢れる人はがりが視界に入っては消えるだけであった。
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