プロローグ

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「お前は誰だ?」 しんと静まりかえった夜 二人の男が暗い路地で 向き会っている。 時代は幕末… 幕府側と倒幕側の紛争が 度々起こっている時代… 誰と問う男はあさぎ色の 羽織を着ている。 あさぎ色の羽織はこの京では 知らぬ人はいないであろう 『人斬り集団』 と噂の新撰組だ。 彼はその中でも、最も残酷と呼ばれる 『鬼の副長』土方歳三… 「土方歳三か…良い事を教えてやるよ…会合は池田屋だぜ?」 「っ!?誰だと聞いている。」 暗すぎて相手の顔は良く見えないが、相手は薄笑いをしている。 「俺?んー前世の記憶を継ぐ者かな?」 「…そういう事じゃない!!」 少し声を大きくしながら言った。 「違うのか?」 「長州の者かと聞いている!!」 「あぁ…そっち」 「……」 「違うな…俺は前世の記憶を継ぐ者。そして来世に記憶を継ぐ者。だから多くの経験を来世に継がないといけねぇ…ただ…それだけだ。長州でも薩摩でも会津でも何処にも所属なんてしてないさ」 長い文を言って疲れたのか ため息に近い息を吐いた。 「あんたは、俺を雇ってみたくはねぇか?」 「…何を言い出す。」 「俺は強いぜ?」 「……」 「試してみるか?」 刀を構える男 少し考える土方歳三 そして出した答えは… 「……では、池田屋に行って長州の奴らを生け捕りにできるか?」 「?」 「生け捕りに出来たら…考えてやる!!」 「…フッ…了解」 男は、ニッと笑い鞘に刀を収めた。 「一ついいか?」 「なんだ?」 「名は?」 男は空を見上げる 「……月影…」 月は雲に少し隠れていた。 「月影澪…」 それから半刻後… 池田屋にいた長州の者は 勢力を無くした。 新撰組による突撃により 多くの者が打ち捕られた… しかし、彼らにとって驚きだったのは 途中から入ってきた男… 新撰組の羽織を着ていないのに 仲間を斬り捨てている男… この男は誰なのか 分かるものは誰一人いなかった。 月影澪と名乗る男は 池田屋で未だに生きていた 長州の者数名を生け捕りにして 後から来た土方歳三に渡した。 彼はそれが誉められ 新撰組に入る事になる。 そう…全て計算された上で……
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