12人が本棚に入れています
本棚に追加
ウェーブの掛かった白色の髪。
やや体格の良い引き締まった身体。
自分に背を向けているので、恐らく青年は小雪に気付いていないのだろう。
彼は空を見上げ、超然と佇んでいた。
独りこんな所で一体何をやっているのだろうか。小雪は状況だけなら自分も同じだと言うのに、そんな事を呑気に思った。
思いつつ見つめていると、青年が突然振り返ってきた。小雪の目と青年の目が合う。
柔らかに微笑む青年。
線の細そうな美青年である。
なんだか青年の金色の瞳を見ていられなくなって、小雪は視線を下ろした。
彼のブレザーの左胸に付けられた赤い徽章が目に入った。三年生なのか……。彼になら道を聞いても大丈夫だよね。あの先輩みたいな人は珍しい方だろうし。
そう思って小雪は口を開きかけ、
「君も俺の筋肉に惚れたいのかァァァァァ! 俺はいつでもバリバリだぜッ。大胸筋はいつでも準備万端だァーーーーッ!!」
青年は咆哮した。空気が青年に同調して震えるッ!! 小雪も嫌な意味で震え上がる!!
最初のコメントを投稿しよう!