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そこは薄暗く、狭い部屋だった。
小雪は息を整えながら、この部屋は一体なんなんだろうと、部屋を見回す。
「ッ」
部屋の中心に一人の生徒が居た。
ぱちり、ぱちりと点滅する切れかかった蛍光灯が、その生徒を浮かび上がらせる。
やや癖のある薄青い髪。優しげでどこか幸薄げな印象を与える整った相貌。
胸には赤い徽章。という事は三年生か。
そして――死んだ魚を通り越し、腐った魚のような生気の全く無い目をしていた。
「!」
壊れた人形のように先輩が顔を上げる。
その目の焦点はどこに行っているのか。
崩れ落ちるように、先輩の口が開く。
ごきり、と首が曲がる。
そして、その口が暗澹に震え始め、
「ふふ、生きる意味って何でしょうね。生まれた意味は果たしてあるのでしょうか。苦しみ辛い目にあっても何故、生きるのでしょう。分からない分からない分からないんですよ。分からない僕に存在価値なんて無い。ふふふ存在しちゃ駄目なんだ。価値なんてないんだ。ああ、鬱だ。死のう」
「ッ――す、すみませんでしたっ!!」
小雪は思わず謝って、外へ飛び出した。
怖い、怖過ぎる。なんなんだここは。
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