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「うう、酷い目にあった……」
満身創痍の様子で、小雪は校舎の外壁に手を付いてそんな呟きを漏らす。もう足に力が入らない。走り過ぎた所為だ。
クロードから逃げるのに必死になって、大分遠くの場所まで来てしまったようだ。
小雪は壁に背を付けて、座り込んでしまう。幸い周りに生徒の姿は見えなかった。
地面に直接膝を抱えて座っている姿を見られたら、幾らなんでも恥ずかしいものだ。
赤く染まった空を見上げ、小雪は深く息を漏らす。もう部活見学時間は終わっているだろう。間に合わなかったんだ。
ふと、足元に生えていた雑草を一本、毟ってみる。名も知らぬ草である。それを何の考え無しに指で弄っていると、
「小雪ちゃん?」
声を掛けられた。
うわ、いつの間に!?
小雪は慌てて、顔を上げる。そこには毎日顔を合わせている見知った顔があった。
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