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生徒会長である兄曰わく、あの三年生の名はミカルと言う。文芸部の部長にして、副部長、そして唯一無二の部員である。
だが元々、文芸部は彼一人で無かった。
毎年、文化祭で作品を発表したりする程度には人員が居たそうだ。だが、去年、ミカルを残して他の部員は退部したという。
何故、文芸部から人が消えたのか。
その原因を雪は語らなかった。存じていないだけかもしれないが、その性格から只単にはぐらかしているだけだろう。
それはともかく。
小雪が不運にも目の当たりにした通り、現在の文芸部は壊滅状態だ。
部室も校舎内から追いやられ、体育館の片隅にある数多の倉庫の一つへと移ってしまっている。このままでは生徒会によって取り定められた規定によって、部活の存続自体が不可能になってしまうと言う。
そこまで語った所で、
「じゃあ、なんであの先輩。えっと、ミカル先輩だけが文芸部に残っているの?」
小雪はそう尋ねた。
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