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「えっと、文芸部の部室は……」
季節は桜舞い散る春。
お父さん方が失態を晒す春。
とある学校が入学式を終えて数日後、漸く部活見学が開始されたその日の放課後。
とある学校の敷地内、南方に建っている第三校舎の三階、様々な教室が並んでいる廊下に一人の少女がいた。
この学校の制服である緑色の徽章が胸に付いた紺色のブレザーに、同色のフレアスカート、臙脂色のタイ姿である。
徽章の色からして、一年生だろう。
ちなみに赤は三年生、青は二年生だ。
「本当に迷宮みたいな学校……。うう、早くしないと見学時間に間に合わないのに」
そう困ったように少女は呟いて、手に持っていたこの学校の縮図を確認する。
そこには迷宮のように入り組んだ校舎の数々が記されていた。彼女が目指す文芸部の部室はどこにあるのやら。分からん。
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