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入学してあまり時間の経っていない彼女にとって、この学校は複雑過ぎるのだ。
それは新入生全員に言える事で、この縮図は今朝担任に支給されたものである。
これが無かったら本当にどうなる事か。
「小雪ちゃぁぁんっ」
不意に自分を呼ぶ声がして、少女は振り返る。同級生の女生徒が駆け寄ってきた。
「第七談話室ってどこか分かるっ!?」
「え、えと……」
突然、泣きつかれて小雪と呼ばれた少女は困ってしまう。自分だって、文芸部の部室がどこに在るか分からないのに。
他の部活の部室なんて把握してる訳が無い。この学校はとにかく部活が多いし。
小雪はうーん、と唸ると正直に、
「ごめん、分からないや……」
「あ、そっかー。呼び止めちゃってごめんねぇ。小雪ちゃんも探すの頑張って!」
走ってきた少女は、片手を軽く上げるとそのまま廊下の先に消えて行った。
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