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どうやら自分はフラフラと茫然自失に移動してしまっていたようだった。
あの先輩はなんだったのだろう。
高校生とは思えない小さい体。
小雪が今まで見た事の無い程、濁った瞳。
彼女はその全てが、小雪にとって強烈であった。故に早く忘れたい存在である。今後、絶対に係わる事がありませんように。
小雪は本気で願う。南無阿弥陀仏。
願って、漸く目的を思い出した。何故、放課後残って校舎を散策していたのか。
「あ……しまった」
全然、文芸部に近づいてない。
むしろ遠ざかっているんじゃなかろうか。
「……はぁ」
思わず溜め息をついてしまう。
そんな小雪の背に悪寒が走った。
「!」
びくり、と生理的な悪寒に対して、動物としての本能が働き、小雪は振り返る。この感覚、兄さんが偶に放つアレと同じッ!!
しかし、小雪より少しばかり離れたそこには、小雪の知らぬ青年が立っていた。
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