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もう、真夜中だ。
こんな真夜中、沙夜に呼び出されて近くの丘まで来た。
オレは確かに紗綾にメルアドを教えた。もう来てもいい頃合いじゃないのか?
焦燥にかられる。こんなところで沙夜と二人で風に当たるなんて、つらいつらい。
はやく来ないのかね。
「ねぇ、さっきから誰かを待ってるわけ?」
「い、いや、ちげぇよ」
「じゃ、何?」
「何でもねぇって! しつこいなぁ、沙夜は。 だから彼氏ができねぇんだよ、まったく」
「あっそ……」
そう吐き捨てると、沙夜はそっぽを向いた。ガードレールの向こうに広がる、ネオンの街並みをじっと見ている。
表情は見えない。
怒っているとか、泣いているとか、そんな感じだろう。
泣いてたら、まずいか。
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