紅茶

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風が史絵の髪を大きくなびかせる。史絵は乱れた髪を、手で抑えた。 「ごういん……」 史絵は怒ったようで、ムスッと頬をふくらませる。 「ほら、行こうよ」 史絵の手をグイグイと引っ張り歩いていく。後ろを振り返ると、史絵は戸惑いを隠せずキョトンとしている。 川岸に着くと、せせらぎが耳を通して伝わってきた。穏やかな音。 ここを流れていけば、どっか遠くまで飛ばしてくれるのだろうか。 手に持っていた紅茶のペットボトル。キュッと音を鳴らして、勢いよく開いた。
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