携帯電話

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来い、来い、恋! 汗ばむ手。ケータイ画面が小刻みに揺れる。どうやら緊張しているみたいだな。 自然と過呼吸。意識せずに時計にまで目を向ける自分。 今日、紗綾(さあや)から刹那に言われたフレーズが頭から離れずにオレをむしばんでいる。 『メルアド教えてよ。 あとでメールするから』 その時の紗綾は、まるで天使のようだった。オレの顔を見ようとはせず、顔を赤らめて言う紗綾。なんとも言えない上気かげん。 なんとも素晴らしいものだ。これだから青春はやめられない。 ふふふ、今のオレは人生の絶頂期のようだな。
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