当代

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己の朝はいつも自分で起きる。 己がどれだけ寝ていてもあーちゃんが起こすことはない。 「起きたんだ。 おはよう。」 「おはよ。」 「蒲団片しとくから着替えな。」 「ん。」 己は着替える。 いつも予めあーちゃんが用意してくれている。 今日は百入茶だ。 己の好きな色。 この色だけは白黒の世界なはずなのにわかる。 どうしてかな? 「着替えたね。 ほら、座って。髪結うから。」 「ん。」 己はおとなしくする。 あーちゃんは優しく髪を触る。 それが気持ちいい。 「終わったよ。」 「ん。」 「ご飯食べに行こうか。」 「ん。」 己の知らない人がたくさんいる。 だから怖い。 何もされないとわかっていても。 己はいつものようにあーちゃんの手を繋ぐ。
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