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「なぁ、そこにいるんだろ?」
ベランダから空を見上げ、そう呟く。
あの戦いで散っていった俺の相棒、雷帝レオンハルト。
今でもあいつがそばにいるのではないかとつい錯覚してしまう。
「やはり、仲間の死とは辛いものだな……」
レオンは俺にとって大切な存在だった。
共に何度も死線をくぐり抜け、喜びや悲しみも分かち合った。
俺の……たった一人の相棒だったのだ……。
「……ん?」
そんな妄想を脳内で繰り広げていると、ポケットに入れていた携帯電話が振動していることに気づいた。
素早くそれを開き、耳元にあてる。
「……私だ」
『久しぶりぶりだな!! 元気にやってるか息子よ!!』
「げっ!?」
この声は……親父!?
くっ、発信主を確認してからでるべきだったか!!
こんなことなら「……私だ」ってハードボイルド風に素早く電話に出る練習なんかしなければよかった!!
『おいおい零よ、パパに対して「げっ!?」はないだろう? はっはっはっは』
「それで、用件はなんだ……?」
親父が電話をかけてくるのは、大抵面倒事を俺に押し付けるためだ。
一回電話に出てしまったからには、もう切ることはできない。
覚悟を決めるしかないな……。
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