三度目の桜風

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  「じゃあ、あたしたちは教室に行くね。鞄置いてくるから」 このままでは拉致が明かないので、麗美は侑莉と綾音の両方に向けてそう言いながら苦笑すると、真奈美を連れて校舎に向かって歩き出した。 新入生は佇んでいたが、わざわざ迂回するのは面倒な麗美が正面から向かってくるので、自然とふたつに別れ、校舎への道ができあがった。 「ま、まるで花道だね……。は、ははは……」 これには真奈美も動揺を隠せず、乾いた笑いをこぼしながら麗美とともにその道の真ん中を歩いていった。 「目が輝いてるわね、あの子達」 「麗美さんは好い人ですからね」  
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