三度目の桜風

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  その頃体育館では、入学式の後片付けが行われていた。 片付けといっても、新入生用に出していたパイプ椅子をかたすだけなのだが。 「竜彦ー。そっちは終わったかー?」 「見ればわかるだろ。まだまだだ」 パイプ椅子のガシャガシャとぶつかる音の中に、普段からなんとも語尾が伸びるしゃべり方をする生徒会書記の、三条良太郎の声がまざっていた。 その良太郎の問いかけに答えたのは、いつもダルそうに手短に喋る、良太郎と同じく生徒会書記の、厚木竜彦だった。 ちなみに竜彦は、あくまでダルそうにしているだけで、性格はいたって真面目だ。  
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