三度目の桜風

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  「ちょっ、全然進んでないじゃん」 「だったらお前も手伝え……って、あれ?なんだそれ?」 今のところ生徒会役員しかいない体育館に、綾音以外の女性の声が響き、竜彦がそれに反応する。 「なんか頼まれちゃってさぁ」 竜彦よりもダルそうな声で、自分のあごのあたりまであるダンボールを持ち直しながらそう答えたのは、生徒会監査の楠木千鶴だ。 決して高くはない身長で、大きめのダンボール箱を二つ重ねて必死に運ぼうとしている千鶴は、竜彦同様に何気に真面目なのだろう。 一時はわけあって麗美たちと対立したこともあったが、今ではそのわだかまりもとれ、こうして普通に接していられるようになったことからして、人付き合いはなかなかに上手なのかもしれない。  
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