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それだけ言い残すと、黒髪の少女は踵を返し、夜の闇へと溶けていった。
「はぁ……」
金髪の美少女、今もなお最強とうたわれ続ける彼女、坂原麗美は、少女が去っていった公園の入り口を見つめながらため息をついていた。
「お疲れさまです、麗美さん」
不意に、後ろから声をかけられた麗美が振り向くと、そこには、黒ぶち眼鏡をかけた、才色兼備の完璧人間、瀧崎侑莉が柔らかな笑みを浮かべながら立っていた。
麗美と付き合いはじめてしばらく経つ侑莉は、麗美が喧嘩をして心配こそはするものの、あまり口に出すと言うことが少なくなってきていた。
もっとも、事の発端から一部始終を見ているので、元気にしている彼女にそんなことを聞くのは野暮というものだ。
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