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「…………うん」
何が大丈夫なのかは定かではなかったが、すべてを見透かしているような侑莉の言動に、麗美は素直にうなずくことしかできなかった。
「帰りましょうか」
「そうだね」
促されるまま帰路につく麗美だったが、しかし、なんの疑いもなく安心させられるほどに、小さな不安を抱かずにはいられなかった。
もし、もう一度如月高校を巻き込むほどの危機が自分の身に迫っているとしたら?
もし、また自分の守りたい誰かが傷ついてしまったら?
小さな不安の種は、考えるほどに成長する気がして、いつの間にか立ち止まっていた麗美は大きなため息とともに懸念の意も吐き出して、再び侑莉の手をとり歩き出していった。
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