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「麗美さん麗美さん、遅刻しちゃいますよーっ」
藤堂氷華と名乗る少女との出会いから数ヶ月が過ぎたが、あれから氷華は現れず、麗美はいつも通りの日々を送っていた。
そして今日はというと、麗美たちが三学年に進級してからの最初の登校日、いわば一学期の始業式だ。
もう少しで正午になろうとしている今、麗美の家の玄関からそんな声が聞こえるが、声の主は侑莉ではなかった。
「その微妙な侑莉くん口調やめてくれないかな……」
慌ただしく制服の上着の袖に腕を通しながら玄関に顔を出した麗美は、ひとつ嘆息する。
「ほらほら、早く行くよー!」
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