三度目の桜風

3/23
前へ
/289ページ
次へ
  麗美の視線の先にいるのは、髪をふたつに結って赤い眼鏡をかけている少女、上松真奈美だ。 金髪の少女にできた、最初の親友であり、よき理解者だ。 去年のことなのに、出会ったときのことが麗美にはひどく懐かしく感じられた。 「なんか楽しそうだね、真奈美……」 「そんことないよ?ふふっ」 「…………はぁ」 麗美を急かすわりには、余裕綽々といった感じで楽しそうに真奈美は笑う。 そんな彼女に、麗美はもうひとつ嘆息。 真奈美が何を楽しみにしているのか理解できないまま、麗美は家を後にした。  
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!

349人が本棚に入れています
本棚に追加