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「…一美。
私のことも、怒って?何も、なにも考えられないの…
頭に入ってこないのぉ…一美ぃ…ヒック…」
急いで私の所へ寄ってきた一美は椅子に座っていた私の目線にあわせるようにしゃがんで私の手を包み込んだ。
「茉奈?」
そういって私の手をギュッと握った。
「征治が遠くへ行っちゃうよぅ…」
「着いてっちゃいな」
「…で…でも、着いてこいって言ってくれないし、私の仕事もあるし…」
「茉奈は、どうしたいの?」
「…ヒック…離れるのは…いやだぁ」
まるで子供のように泣きじゃくる私の言葉を拾い上げた彼女は、私を立ち上がらせるときっぱりと言い放った。
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