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僕は、物思いにふけりながら視線だけ窓へ向けていた。
景色は、荒野から次第にぽつぽつ古ぼけた民家が見えるようになる。
ハッと我に還り、そろそろ着くかな…僕がそう思い始めた頃だった。
ザザ―…
するとノイズとともに乗客への放送スイッチが入った。
「…間もなくタミン駅に到着いたします。お降りお客様は、お忘れ物の無いよう、ご準備下さい」
おっと、ラルアを起こさなければ。
「乗り換えだぞ。起きろ―!」
片手で、ゆさゆさと体を揺する。
「ん゛ー。むむ~」
駄目だ。目を開けようともせず、迷惑そうに唸るだけだった。
「ふぅ…」
こいつを起こすのは、容易ではないぞ…こりゃ。
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