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「よいしょ」
二人座り用の座席に横になっていたラルアの体を無理矢理、起こす。
数秒様子を伺ったが、起きないみたいだ。……残念。
列車の速度が徐々に落ちてゆく。このままじゃ到着してしまう。
こうなったら奥の手だ!
アーリーは、ラルアに顔を近づけた。
「ふぅ――」
ラルアの耳にアーリーが息を吹きかける。
ビクッとなった瞬間
「ひぁぁぁ゛――!?」
ラルアは、響き渡る奇声をあげた。
反射的に耳を抑える。
突如響き渡る謎の奇声に、何事かと乗客がこちらを覗く。
「す…すみません」
頭を下げる。
本当、乗客には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
周りから痛い視線をあびた。
「ごめん、ラルア。もう着くんだよ。あまりに起きなかったから…さ」
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