第一章

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  次の日の朝、 私は気怠い体を無理矢理起こして、 部屋の掃除をした。 昨日は汚したままだったから、 放って学校に行くわけにも行かないし。 …汚れたのは制服のスカートもか…。 クリーニング出すのは、 なんとなく勇気がいるなぁ。 すごく汚れたわけじゃないけどさ。 うわぁ、ちょっと血が付いてる。 そんなこんなで、着ていく気になれない。 何着かあるからいいけど、 封印するのも勿体無いな。 気にしないことにしよう。 掃除をパッと終わらせて、 私は制服に着替えると、 一階にある洗面所に向かった。 汚れた服は洗濯機に入れておく。 普段は帰ってきた時に回すけど、 今日は今、回してしまおう。 朝食を済ますまでには終わるだろうし。 また二階まで上り、 私はヨルの部屋に入った。 「ヨル、おはよう。朝だよ」 いつも私と寝ているから、 あまり使わないベッドの上に、 うずくまるように彼女がいた。 「……きーちゃん…」 まだ怯えたような目をしている。 それが堪らなく可愛い。 「朝ご飯作るから、 着替えて下りて来てね」 他愛の無い朝の会話を一方的に残し、 私は一階に下りた。 キッチンで簡単な朝食を作りながら、 (下りてくるかな。 ヨルは引き隠る癖があるからなー。 作り終わったらもう一度行こうかな) とか、そう考えている間に、 ヨルが恐る恐る下りてきた。 良かった、自分から来た。 「おはよ。 ちょっと待っててね、すぐ出来るから」 そう声を掛けて、再び調理に戻る。 ヨルがフラフラと私の近くに来る。 私の服を小さく掴むと、 消えそうで泣きそうに呟く。 「……怒って、ない、の…? 私、きーちゃんに、ヒドいこと、した……」 少し振り返り、彼女の顔を見ると、 目の下のクマと同じくらい、 目が赤いのが目立っていた。 現実離れしてキレイな顔だから、 余計に生々しい。  
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