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街は赤茶けたレンガ造りが多く、中世のヨーロッパにを思わせるゴシック建築な街が立ち並びり、街灯の明かりは疎りなく、なんだか不気味な空気が漂っている。
「何よ!来ないで!」
「…」
女性は息を切らし、かかとの折れたハイヒールで一心不乱に走っている。
追ってくる者は右に左に…身体を引き摺りながら無言で歩みよってくる。その者の不気味な笑みが、追われるものの恐怖を駆り立てた。
女性はその者を振り切るために、路地を奥に何回も右に左に逃げ、背後からその者を消そうとひた走る。
「ハァ…ハァ…」
女性はようやく振り切ったらしく、曲がり門に手をかけ、前のめりになりながら肩で息をしている。
よっぽど疲れたのであろうか、しっかり作られていたであろうメイクは汗で溶けだしている。
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