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騎士は微笑みを浮かべ、そう切替えした。
青年―聖王の秘術により、この世界に召喚された天宮 裕護は、騎士の言葉に苦笑を深め、騎士へと向き直った…
「しかし、今の君は騎士だ。以前までの様に、従士相手ならまだしも、騎士身分の者を愛称で呼ぶなど、周囲の者に示しが付かないのでは?」
「その様な事、気になさらないで下さい。どうしても愛称で呼ぶ気が無いなら、私も勇者様と呼ばせて戴きます」
「む……何度も言うが、俺を勇者と呼ぶな」
「では、何度も言いますが、私の事は、ランディと呼んで下さい」
憮然とした表情で答える祐護に、変わらぬ微笑みで返すランディ。
この様なやり取りは、日常茶飯事の様だ。
だが、彼らの本拠地たるレーゼルホーク城の騎士詰所ならまだしも、魔族との決着を付ける場であるこの戦場においても、普段通りのやり取りが出来るとは…
二人共、肝の座り具合はかなりのものである。
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