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緊張感のまるで無い二人のやり取りのお陰だろうか?
周りの騎士や兵士達の顔にも、徐々にほのかな笑みが浮かんだ。
特にランディウスの部下と思われる兵士達は、笑みの中に、誇らしげな感情が見え隠れした。
自分達の隊長は、人類の希望たる勇者と、あんなに親しげに話す事が出来るのだ。
そう思うと、誇らしさが溢れるのは当然の事だろう。
もし、部下達にそう思わせる為に、祐護に話しかけたのなら…ランディウスと言う男、柔和で人畜無害そうな顔をしているが、案外策士である。
「分かった。今回も俺が折れておく。この話はまたの機会にしよう」
常のとおり、祐護が折れる形になり、話の一応の決着はついた様だ。
「ありがとう御座います。
それで?浮かない表情をされていた様ですが、どうかなさいましたか?」
祐護の言葉を受け、ランディウスは微笑みを浮かべ、自らの尊敬してやまない勇者に再度質問を投げ掛けた。
「……いや、少し妙でな」
そう言って、また無表情になり、最前線へと視線を戻す祐護。
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