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そこには神官のように服装をした男が立っていた。
男は、祐護を不躾に見やり、おもむろに口を開いた。
が、男の口からは日本語でも、他の国の言葉でも無い、聞いた事の無い響きの音が紡ぎ出された。
男の口から紡ぎ出される音に眉を寄せ、祐護はどうしたものかと嘆息した。
その様子を見て神官服の男は、目を瞑り詠唱の音を紡ぎ出した。
そして、詠唱が終わると先程まで理解出来なかった男の言語が、理解出来るようになったのだった…
その後の事も良く覚えている。
男に連れられ、聖王の間で聖王と謁見し、自分が勇者としてこの世界に呼ばれた事。
従士を付けると言われ、ランディウスを紹介された事。
そして、勇者として、幾つもの戦場を転戦し続けた事。
言葉にすれば短く、簡単に聞こえるが、幾度と無く死にかけた。もし祐護が家に伝わる剣術『永全不動八門一派・御神神刀流小太刀二刀術』を学んでいなかったとしたら…
そう思うと、祐護の背筋が冷たくなるのだった…
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