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春それは出会いと別れの季節。
春それは終わりから始まりの季節。
春それは…誰も知らない土地での新しいデビューの季節。
「私は今日から高校生!!ジミカンなんてもう言わせない。」
そう意気込んでマンションの一室の扉を
ガチャッと開けた。
「ふんふ~ん!!天気もいいし入学式日和だよね~。」
彼女は笑顔でマンションの階段をおりていった。
そのマンションの別室で彼女とは違う意気込みで自室の扉を開ける男がいた。
「今日から俺は地味で目立たない平和な生活を送るのだ。」
そう意気込んで彼も階段を下りていく。
そして彼女と彼はマンションの出入口で出会った。
「あっおはようございます。」
「おはよう…ございます。」
「私、朝日高校に進学するためにこっちに引っ越してきたばかりの
片瀬 実柑 (かたせ みかん)
っていいます。」
実柑は明るい笑顔で男に挨拶をする。
「あっどうも…おれ…じゃなかった僕も朝日高校に進学するために…
こっちに引っ越してきたばかりで…
越智 飛鳥(おち あすか)っていいます…一緒…ですね…。」
「えっ?ほんとぉ~!!いやぁ~なんか嬉しぃ~よろしくね。」
「はい…おねがいします…。」
「じゃ一緒にいこ!!」
「はぃ…。」
挨拶をし終わった二人は自分達が通う朝日高校(あさひこうこう )
に向けて足を運ぶことにした。
朝日高校は二人のマンションから徒歩で15分くらい。
近くも遠くもない道程を歩きながら
互いの印象を言い合っていた。
「越智くんっておっきいねぇ~なんかやってたのかな?」
(ほんと大きいな~
180~185cmくらいあるかも体も何だかがっちりしてるし…
でもなんだろ…前髪を目にかかるくらいまでおろしていて
黒縁の大きな眼鏡を掛けていてなんか地味だな…。
昔の私を見てるようだ…。)
「いや…普通だと思いますよ…片瀬さんこそ綺麗でスタイルも良くて…かっこいいです…。」
(綺麗な娘だな~こんな娘彼女にできたら楽しいだろうな…。
でも今の俺じゃ無理だよな…
長くて綺麗な足…整った顔…髪の毛は耳より下くらいの短めでウェーブがかかっていて茶色…
笑顔がいいよな~かわいい。)
二人の第一印象は自分達が思い描いたものに互いになっていた。
二人はこの後も会話を交わしながら自分達の通うことになる学校へむけ足を進めていった。
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