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教室の扉の前に立つ二人はなんだか緊張していた。
それもそのはず、二人にとってこれは今までとは違う逆転の第一歩になるのだから。
「ふぅ~緊張するな…」
「はぃ…」
「越智くんも何だ。」
「はぃ…」
「高校生活を楽しもう!!越智くん。」
実柑は飛鳥に笑顔で言い放った。
だが飛鳥は実柑の言葉に
『うん』
っと頷く事はなかった。
「越智くん?」
実柑は飛鳥が何も答えてくれなかったため首を傾け飛鳥を見上げた。
「ごめん…片瀬さん…僕は高校は…静かに暮すと決めたんだ…だから…
ごめん…楽しむつもりはないんだ…。」
「えっ?」
実柑は驚いた…飛鳥からの思いも寄らぬ回答に…
一瞬開いた口が塞がらないしかし思考が駆け巡りその発言に怒りというものが芽生えた。
「はぁ?なにそれ…そんなの絶対良くない!!
暗い生活なんて絶対良くないんだから。」
「それを…決めるのは…僕だ……ここからは…もう…話し掛けないでくれ。」
飛鳥はそう言うと教室の扉をガラガラっと開け
廊下に実柑を残し一人で先に教室へ入ってしまった。
「ちょっと越智くん!!」
(いきなり何?あの態度の変化は何なの…
ムカつく…越智くんってあんな性格してたんだ。
でも…あれじゃ…私の二の舞になる…。
絶対、越智くんは一人にさせないんだから。)
実柑は飛鳥を一人にさせないと心に誓い
飛鳥の後を追い掛けるように教室へ入っていった。
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