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飛鳥は出席番号順に座るように指定された席にすでに腰掛けている。
実柑は飛鳥の席の後ろの席になるわけだから鞄を勢い良く置いて自分の席に着いた。
実柑の怒っていますよという態度に飛鳥は気付きながらも微動だにしないまま黒板を眺めている。
「ねぇ~越智くん」
「………………。」
シーン………………。
「おちぃくん!!!」
「……………。」
……… シーン…………。
(そうですか…そうですか…無視ですか…
ほんとに誰にも関わらない生活をおくる気みたいなんだね…………)
「むっ…無視するなぁ~!!!」
実柑は飛鳥の椅子をおもいっき引っ張った。
椅子は斜めになり飛鳥は机に足を勢い良くぶつけ…
大きな音を立て教室中の視線を集めた…実柑の声のせいもあるかもしれないが…。
飛鳥はゆっくりと振り返り実柑に口を開いた。
「あの…そういうの…やめてくれませんか?」
「あっやっと口をきいてくれたわね…」
「もう少しボリューム下げてください…みんな見てる…。」
「見てるから何よ!!
さっきの本気で言ってるの?」
「本気です…だから話し掛けないでください
あなたのような可愛い方が近くにいると目立つし地味に暮せません
校内では話し掛けないでください。」
「なっ可愛いって…」
「僕の話は以上です。」
飛鳥に『可愛い』っと言われた実柑は顔を紅くし一瞬怯んでしまい、言葉が出なくなった。
その隙に飛鳥は前を向き再び黒板を眺めてしまう。
「ちょっ話はまだ終わって「ハイはぁ~い静かに!!皆席に着いてね~」」
飛鳥の肩に手を伸ばし話を再開しようとしたとき
タイミングよく担任と思われるなんだか甘ったるぃ声の若い女性が入ってきた。
実柑は渋々と伸ばした手を引っ込め膝のうえに置いた。
「はいはぃ!!みなさんよくできましたぁ~
えらいえらい!!改めましておはようございますっ
そして入学おめでとぉ~!!って事でこのクラスを1年間受け持つことになりました~
朝比奈 ハル
(あさひな はる)
でぇ~すよろしくおねがいしま~す」
実柑は甘ったるい声で挨拶をする朝比奈先生を見て少し不安になった…。
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