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西の都、パスロテ…
東西南北からなる四つの都で、二番目に大きな都市。
ギルドや市街地、更に商店なども連なり、治安も良いこの地に来る者は後が絶えない。
「おぉ~…スゲェ人が居るなぁ…」
「あまり目移りするなよ?観光で来たのではないからな?」
「判ってるって!先ずはギルドに行くんだろ?」
ワクワクとするミリアに、私は近くの宿屋を指差した。
「先ずは宿を取る。ギルドには私一人で行く」
「は?何で?」
「ミリア様、此処は大都市ですにょ。クレアしゃまは、それを気にしているのですにょ」
肩に座っていたトクナガがそう言うと、ミリアは不機嫌そうな顔で「留守番しろってのか?」と言い出した。
「良いかミリア。ギルドには神官や魔導師がいる」
「…?だから?」
「だからではない!つまり、魔力を感知する奴が居るんだぞ?そんな場所にお前を連れて行ったら、騒ぎに成り兼ねんのだ」
今までは魔力を感知する人間がいなかったからこそ、無用な騒ぎがなかった。
しかし、ギルドに行けば、魔力を感知する魔導師や神官がいる。
勇者の私が、魔族を引き連れて行くわけにはいかないのだ。
「んでだよ?そう簡単にバレたり───」
「ダメだ」
「ケチケチすんなよ?」
「ダメだと言ったらダメだ」
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