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play ~鬼ごっこ~
暗闇。
いつだって恐怖は闇に住まうの……。
嗚呼、ほら。
もうすぐアイツが来る。
大きな斧を背負って、真っ赤な目をギョロつかせて……。
誰か助けて!!
そう叫んでいるのに、誰も答えてはくれないの。
だって、みんなアイツにヤられちゃったから……。
「パパ、ママ……ッ」
恐怖に震えるこの身体を、抱き締めてくれる人はもう居ない。
この場所に、逃げ場所はもうない。
だけど……―
嗚呼、ほらまた。
アイツの近づいてくる足音が聞こえる。
助けて!!
助けて!!
無意味だとわかっているのに、そう叫ばずには居られない。
だって怖いの。
何かしてないと、すぐにアイツに捕まりそうで、とても怖いの……。
「神様ッ」
目を閉じて、必死に祈った。
どうか見つかりませんように。
どうか、捕まりませんように……!!
そう願ったのに、酷いよ。
アイツは私を見つけたの。
私は必死で逃げたわ。
だけど子供の私が、大人のアイツに敵うわけがなかったの。
私の部屋に逃げ込んだのに、あっという間にアイツに捕まって、次の瞬間に見えたのは私の身体だった。
嗚呼、酷い……。
私の身体、頭がなくなってるじゃない。
斧で斬られたんだ。
だから私の身体に頭が付いていないんだわ。
酷い、酷い……―
ゴロゴロと私の顔が床を転がった。
アイツの顔が見えたけど、もう恐怖なんて消えていた。
私の友達だった子達の頭が、ベッドの下に沢山並んでいるのが見えた。
本当に酷い……。
私は神様にお願いしたのに聞いて貰えなかった。
酷い、酷い酷い酷い酷い。
私をこんな風にしたアイツも、許せない。
だから私は、息が止まる前に言ってやったの。
こちらを見下ろすアイツを睨み付けて、叫んでやった。
「゙お前も゙殺してやる…―ッ!!」
あの子達みたいに、首だけにしてやる。
そう叫んだ後、アイツは拳銃を取り出し私の頭を撃った。
遠くでサイレンの音がしていた……―
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